⚫︎2026年8月現在の、輸入状況について
ご無沙汰しております。
記録的な猛暑に加え、無慈悲な台風まで続き、何かと奔走させられる日々が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は私が今一番奔走していることについて、少しご案内も兼ねて書かせていただきます。
単刀直入に申し上げますと、現在、南アフリカからのエンセファラルトスの輸出がストップしている件についてです。
皆さまの中にも、
「最近、ECにエンセ追加されないな。」
「そういえば、投稿でもエンセを見ることが減ったな。」
と感じていた方もいらっしゃるかもしれません。
実は今年に入ってから、エンセファラルトスの輸入ができていません。
こちらとしてもかなり焦っており、現地ナーサリーのオーナーと連絡を取りながら、なんとか輸入を再開できるよう進めています。
ただ、これがなかなか思うように進まず...
連絡を取り合いながら一つずつ確認しているものの、どうにも歯がゆい状況が続いております。
今回は、なぜこのような状況になっているのか、その原因となっている経緯を下記にまとめました。

⚫︎新法の施行
昨年12月頃(2025年12月)に南アフリカでPlant Improvement Act(植物改良法)という法律が施行されました。
1976年から続く旧法を置き換える非常に大きな制度変更です。
主な変更ポイントとしては
・植物・種子・繁殖材料を扱う事業者の登録制度
・種子・苗などの品質基準
・植物品種のNational List(国家品種リスト)
・品種の栽培・利用価値の評価
・輸入・輸出の管理
・認証制度
といった具合に、かなりがっつり変更が入ってます。
エンセの輸出にはあまり関係の無い分野も多いですが、問題はこれらの変更が南アフリカの産業や流通など幅広い分野に影響している事に起因しています。
⚫︎新法の内容で、影響する部分
新法は、輸出自体の規制を厳しくするものでは無いです。
規制については別のNEMBA(National Environmental Management: Biodiversity Act)というものがあり、サイズの規制などを定めています。
新法は、「栽培・販売目的の植物・繁殖材料を、誰が、どこで、どのような品質・条件で扱っているか」を深掘りする様な法律、といった感じです。
なのでむしろちゃんとしているナーサリーにとっては透明性を保証できる法律ともいえます。
もちろんうちの提携ナーサリーは、これらを余裕で通りますのでそこについては問題ないです。
⚫︎では何が問題で輸出ができないのか。
簡単に言うと政府側の処理の問題です。
そもそもこれ以前に、南アフリカ政府は農業分野の認可制度において未処理案件や処理能力不足を公式に認めています。
2025年11月時点で、申請に対する未処理が5730件、そのうちの4815件が政府側からの技術審査待ち状態であると公表されています。
そこに加えて、新法の追撃。
従来の法律ですらも申請承認待ちがある中で、承認済みの全箇所からの新規登録ですから、政府職員に同情したくなるような状況が想像できます。
でも実際に苦しいのは該当事業者たちです。生活できませんからね。
実際に5月に現地に行った際、何件か訪れた他の全てのナーサリーが申請承認待ちでした。
⚫︎想定される今後の見通し
現在現地ナーサリーのオーナーが弁護士をたてて進めてくれています。
事業者としての登録や認可が済めば、個体の方に問題はない為そこからは早いんじゃないかと。
また、私どもの提携ナーサリーは元々の法律で登録は済んでいるので、手続きとしては新規取得でなく更新に近いです。
なので他ナーサリーよりは比較的スムーズに認可がおり、例年通りの輸出ができる様になると踏んでいます。
ただし、今後の全輸出において業務上の手続きが大幅に増えた為、かかるコストが変わってきます。
たたでさえ厳しいNEMBAの規制に加えて、新法で異なる承認を得た株のみが通過できる。
輸出におけるハードルが、一段上がった感じです。
実際に輸出が再開しても、来年以降はさらに価格が上がってくることが予想されます。
⚫︎個人的な見解
個人的には、対応はさておき新法施行は良い事だと思っています。
ずさんに管理して叩き売りしていた業者は、これで多少ふるいにかけられるんじゃないかな。
そもそも、数の少ない希少種。
これでもかってくらい、厳しくてようやくちょうどいい気がします。
買うにあたっては安いのが良いのもわかりますが、安い事には理由が必ずあります。
うちのように、国内で長期間しっかり養生してから販売する方法を取っていると、どうしても異常な安売りはできません。
もちろん、他国のナーサリーに管理を丸投げしているのであれば話は別です。
例えばタイなどですね。
最近聞いた話では、
南アフリカ産 → タイで養生・管理 → 日本で販売
という流れでも、登録票上の産地は「南アフリカ」として取得できるようです。
産地そのものの表記としては間違っていないので、それ自体はアリだと思います。
ただ、実際に購入する側は、そこまでの経緯をきちんと説明された上で購入しているのでしょうか?
そこについては私自身確認したわけではありませんので何とも言えませんが、そういった株を仕入れて販売している小売業者が、あえて細かい管理履歴まで説明しているとは思えません。
私はタイで管理されたエンセをあまりオススメしてません。
このあたりについては、また改めて詳しく書こうと思っています。
そのため、うちでは同じような販売方法を取ることはできません。
これからも現地ナーサリーとやり取りをしながら、実際に自分の目で選抜した株や、良いと思った品種を中心に扱っていきたいと思っています。
輸入の件も含め、なかなか思うように進まない部分もありますが、気長にお待ちいただけたら嬉しいです。
また、こうした事情もあり、今年販売できるエンセは、現状の在庫分のみとなります。
とはいえ、まだまだ良い株は残っています。
「今年中に良いエンセを手に入れたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください😊
ROUTE BOTANICALS
松井孝太


